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無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る

わけあって、テストについて思うところがあったので、いろんなところで必読とされている若林俊輔・根岸雅史(1993)『無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る:正しい問題作成への英語授業学的アプローチ』大修館書店を読んでみた。

 

 

無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る―正しい問題作成への英語授業学的アプローチ (英語教師叢書)

無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る―正しい問題作成への英語授業学的アプローチ (英語教師叢書)

 

 

 

テストの目的と教員養成

 テストは①学習者が自分の能力をはかるために行われるが、それと同時に②教師が自らの授業をふりかるためのものでもある。しかしながら、実際には大学の教職課程においては、テストについて専門的に学ぶための科目が提供されておらず――どのように授業をするのかについての科目はある――②はおろか①の目的すら達成できていない場合がある。本書では、具体的な問題例を挙げながら、どのようなテストが「ダメな」テストなのかを説明している。

 

スティング・ポイント

 テスティング・ポイントとは、「ある一つのテストが何をテストしようとしているか、いわば、テストの目標」(p.17)である。つまり、そのテストがどのような力を測定しようとしているのかについては、明らかになっていなければならないのである。その点から見た場合に、別々のテスティング・ポイントが混在している問題がとにかく多いという。

 本書で紹介されている問題は「発音問題」「空所補充」「並べ替え」「長文読解」といったように実際には一般的に用いられている(と思われる)問題ばかりである。つまり、中高の定期テストで実施されている問題が学習者の力を反映していない可能性がたかいのである。

 

じゃあどうすればいいのか?

 本書では、最後にテスト問題改善のための観点が示されている。結局のところは、「テスティング・ポイント」を明確にすることと、複数の人間の目で確認をすることにまとまるようである。

 

以下感じたこと

 テスト問題を改善するにしても、そもそも改善するべきなのは授業なのであろう。定期テストは、入試のような選抜テストや各種の語学検定とは異なっていて、授業で行ったことが定着しているかどうかをはかるものである。ということは、授業がしょうもないものなら、テストもしょうもないものになるだろうし、授業が充実していれば、テストも充実した問題を作れるはずである。